作業用って銘打ってるものが、実は意外と作業用にならない、
というパターンの曲集って多いですよね。困るというのか何というのか…(笑)
さて。
パソコンから日記を書くのは日曜ぶりです。
携帯じゃ追記型の書き方知らないので(出来るかも知りません)
お預けになってる今週のコナンの感想もまだ終わっておりません。
一応、先ほど感想用に今週2回目のコナンも見たのですが、
まあ、どうせ来週コナンないので、月曜に1週間前の感想でも書くことにします。
今回は、前々から上げようかと思ってた結託6章でも
追記で先駆け公開してみようかと思います。
…実はこの話、パープルネイルがこっそり絡んでます。
コナンと快斗の会話の中に少し出てくるだけですけどね。
最初の時点で、一番まともな共同戦線話になりそうだ、と話してたのもあり、
結託では珍しくコナンがしっかり探偵してる気がします(キッド相手にしては)
書きたがってるオチに関しては、タイトル通りのエピソードのはずですし。
たまには好敵手に協力的な探偵も良いとは思うんだ。
というパターンの曲集って多いですよね。困るというのか何というのか…(笑)
さて。
パソコンから日記を書くのは日曜ぶりです。
携帯じゃ追記型の書き方知らないので(出来るかも知りません)
お預けになってる今週のコナンの感想もまだ終わっておりません。
一応、先ほど感想用に今週2回目のコナンも見たのですが、
まあ、どうせ来週コナンないので、月曜に1週間前の感想でも書くことにします。
今回は、前々から上げようかと思ってた結託6章でも
追記で先駆け公開してみようかと思います。
…実はこの話、パープルネイルがこっそり絡んでます。
コナンと快斗の会話の中に少し出てくるだけですけどね。
最初の時点で、一番まともな共同戦線話になりそうだ、と話してたのもあり、
結託では珍しくコナンがしっかり探偵してる気がします(キッド相手にしては)
書きたがってるオチに関しては、タイトル通りのエピソードのはずですし。
たまには好敵手に協力的な探偵も良いとは思うんだ。
「上等じゃねーか、犯罪者」
案内された建物はシャッターが下りていた。にもかかわらず、いとも簡単に中へ入り込む快斗にコナンは顔をしかめる。その言葉に快斗は一瞬目を開くが、すぐにコナンから目を逸らした。
「人をハメるために、閉鎖されたデパートに入り込んだ小賢しい探偵に言われたくありませーん♪」
すっとぼけて言い返すと、そのままコナンを手招きする。先の文句も気にせず、平然と不法侵入を続行する快斗の行動に、コナンは言葉を返す気すら失くす。
「……テメーのその神経の図太さだけは褒めてやるよ」
中へ案内すると快斗はそのまま奥の部屋に引っ込んだ。一人残されて、コナンは仕方なく辺りを見渡す。緑色の台が所狭しと並んだ室内には、よく見ると全ての台にボールが9つ置かれていた。
(ここって……)
テーブルの1つに近づきかけたところで、ドアの開閉音が聞こえてくる。
その音に、進みかけた足を止めてコナンは後ろを振り返る。
「おい、キッド。何で……――つーか何持ってんだよ?」
「何ってコーヒー?あ、一応ブラックな。何か入れるならお構いなくどうぞ」
両手にカップを持って出てきた快斗へ怪訝そうに訊くが、快斗は素知らぬ顔で答えてコナンへカップを渡す。
「ここのオーナーと子供のころから知り合いでさ。俺の家みたいなわけよ」
「……それで何でビリヤード場なんだよ?しかもドリンクのセルフサービス?」
「ああ、違う違う。コーヒーは俺のサービス。まあもともとタダだけど。
つーかそんなサービス自体ねーからな、いつも勝手に淹れてるだけ」
胡散臭そうなコナンの問いに快斗は笑いながら手を振った。
「ホラ、地元民が知らない場所って、要は地元民がいなきゃ良いわけだろ?
今回の件で今日は臨時休業してっからさ。客も来るに来れねえ貸し切り状態ってこと」
「……今回の件でって、そのオーナーとどんな関係があるんだよ?」
「知り合いに病室の監視頼んでるっつったじゃん?それがここのオーナー」
コーヒーを口に含みながら説明すると、慣れた足取りで室内を歩き始める。目的でもあるのかとコナンはそれを目で追うが、予想外に快斗は壁に掛けてあるキューを徐に手に取った。
「それで?地元民避けてるのにはどんな理由がおありですか?探偵君?」
「……少しは緊張感持てねーのかよ?」
快斗の行動にコナンは呆れて返すが、本人は素知らぬ顔で手近な台にスタンバイする。
「オメーが何したいのか知らねーし?つーか、警部の家まで来るの早かったよな?何処にいてたわけ?」
「事故現場」
コナンが答えるのと同じくして、快斗はキューで手玉をついた。その後でようやくコナンへ顔を向ける。
「それで?」
「分かったことと警告の両方あるな」
「んじゃ、スマートに分かった方から♪」
そう言うと、またビリヤードへ関心を戻す。手玉を突くが、何にも当たらない。しかし、それをもろともせずに、ゲームを続行する。コナンは無関心そうにそれを眺めてから話を続けた。
「現場検証しに来た刑事がいるだろ?あれ、何人だった?」
「2人?」
「警察手帳を見せたのは?」
「年齢上の方の刑事だけですが?」
それが何かと続けるも、快斗の視線はビリヤードから離れない。
「おいキッド。真面目によく聞けよ?」
「はいはい?」
返事とは裏腹に、態度は気楽なものである。反応だけして関心は別の方向に向いているが、それに対してコナンは何も言おうとしない。ただひたすらに、まっすぐ快斗を見た。
「現場検証に来たその刑事が一枚噛んでるぞ」
淡々と言ったコナンの言葉に、快斗の手がようやく止まる。キューを動かしかけた手を止めて、無言のままゆっくりと顔をコナンへ向けた。
「少なくとも同行してた刑事は偽者か、そうでなきゃ共犯者だな。
どちらにせよ、地元のしかも警官が絡んでるのは確かだ。
だから真面目に聞けっつったんだよ」
続けられた言葉を受けて、快斗は台の上にキューを乗せて、体ごとコナンの方を振り返る。
「二人共が刑事でない可能性は?」
「ほぼねーな」
快斗の質問にコナンは即座に一蹴した。
「よく考えてみろ。オメー自身が携帯で連絡したんだろ?
なら考えられる可能性として一番高いのはすぐに出てくんじゃねーか」
「……知るかよ。俺は怪盗でマジシャンなの。探偵じゃねーっての!」
苦笑いして言い返す快斗に、コナンは構わずに続ける。
「良いか?通報を受けたのはもちろん駐在にいた警官だろ?普通はその警官が現場に来る。
もし電話を受けたのが偽の警官だったとして、本当の警官が電話に出ない理由は――」
「メジャーどころは監禁か拘束ってところか?
まあ確かに留守中の交番に通報があるなんてまずねーわな。
でもそれがニュースになってないところをみると可能性は低いはずだろ?」
「ああ。オメーに連絡がいってないことを考えても可能性は低いだろうな。
仮に手違いで到着が遅れてオメーがいなくなってから本物の警官が駆けつけた、
と考えたとしても筋が通らない」
「俺に一切連絡きてねーもんな。
非通知にしてねーんだし、やろうと思えば後で事実確認できる状態ではあるわけで」
「そう――」
快斗の言葉に、コナンは短く同意するとニヤリと笑った。
「となると、通報を受けたのは本物の警官であり、それが犯人と考えるのが妥当だろ?」
「確かに。そう考えりゃ、片方の刑事しか警察手帳を見せなかった辺りも怪しいな。
でも、何でハナから現場検証に来た警官を疑ったわけ?」
「ブレーキ痕さ」
「ブレーキ痕?」
コナンの言葉に快斗はオウム返しすると、しかめ面で首を傾げる。
「ひき逃げや当て逃げにはつきものの『ブレーキ痕がない』ってやつ?
でもそれで分かるのは事故かどうかだろ?」
「だからこそだよ。ただでさえ現場は見通しの良い住宅街。
気をつけて走ってりゃ、まずあんな事故は起こらない。それが今回起こった上に
辺りにブレーキ痕が一切見当たらないんだぜ?普通の警官なら、事件の線で捜査するだろ」
「……要は新聞記事の片隅にすら載ってなかった理由は、
その一枚噛んでる警官が上に報告しなかったとも考えられるってことか」
「可能性としてはな。だから中森警部に釘差しとけよ。真っ正直に欠勤理由話すなって」
コナンの言葉に快斗は難しそうに眉を寄せる。
「でも警部、今は警視庁配属だぜ?地元の駐在には伝わらねーだろ?」
「『娘が事故に遭い、入院先の病院で、風邪ひきながら付き添ってたら体調が悪化して
入院する形になってます』とでも言うのか?噂になったら情報が広がるのは早いだろ?」
言われた言葉の意味が分からず、快斗はしかめ面で首を傾げる。腕を組んでしばらく唸ってからようやく頷いた。
「入院先が漏れたら、裏工作は無駄って言いたいわけね」
「なんせ警察だからな。特に本物の警察手帳を提示されたなら信頼性はかなり高い。
偽証してたとしても、まずバレねーよ」
「でもそうなったら難しいだろ。いくら病院に口止めしてたとしても
『ご本人から要請を受けまして』なんて言われりゃ、病院はおろか、病室にもある程度まで侵入できる――」
不自然に言葉を切った快斗をコナンは怪訝そうに見上げる。しかし、快斗の動作はピタリと止まり、よく見れば顔も青い。
「おい、どうした?」
「……ヤベ」
無意識に呟くと、快斗は無言でズボンのポケットからICレコーダを取り出した。
「悪い、名探偵。ちょっとこっち来てくれる?」
「はぁ?」
用があるなら自分が動けばいいだろう、と毒づきながら顔をしかめるも、快斗がいる場所へしぶしぶ歩み寄る。
「なんだよ?」
「警部の家の留守電に入ってたメッセージ」
そう言うとレコーダをコナンへ向けて再生ボタンを押した。
≪エコダソウゴウビョウイン≫
「……これだけか?」
「そう」
流れてきた声は、いわゆる機械声。その声が示したのは、青子と中森が入院している病院名。普通なら病院名を言うのに、声を変える必要はない。
「一言だけってのは恐怖心を煽るためってところか。日時は?」
「一昨日の夜。丁度俺が病院抜け出して、仕事に行く頃だな」
快斗の言葉にコナンは難しそうに顔をしかめて腕を組んだ。
「……となるとちょっと厄介だな」
「何が?」
「その時点で病院名が発覚してたのは、オメーの後をつけたか、
もしくは救急車をつけたかのどっちかだろ?」
「……そうか。もし後者なら後をつけた仲間がもう一人いるわけで、
だとしたら実行犯が少なくとも3人いることになるってことか」
「多いからどうってわけでもないが、それこそこっちは人がそういないからな。
下手に突っ込んでいくと逆に危険になる。――特に問題は病院だな。
明日から平日だろ?余計に手薄だぜ?」
ため息交じりに言うコナンに、快斗はうつむき加減に首を傾げて、難しそうにコナンを見る。
「犯人分かってんなら今日中に確保は無理なわけ?」
「出来るなら現行犯逮捕だけだな。今あるのは状況証拠だけだ、決め手がねーよ」
ため息交じりに言うコナンに、快斗はわざとらしく肩をすくめると、
事もなげに嘆かわしく呟いた。
「それでもお前、警察の救世主とか言われた探偵かよ?名探偵の名が泣くぜ?」
「知るかよ。文句言うなら一人でやりな。
つーか、それはそっちが勝手につけた呼び名じゃねーか。
大体、ガキの頃から入り浸ってる割に、大して上手くもないハスラーに言われたかねーな」
淡々と言葉を返すと、快斗の背後にある台を一瞥する。5回程度は突いたはずの手玉が、ホール直前でかろうじて止まっている。だが、肝心のボールの方は1つも入っていない。
コナンの言葉に、一瞬自分の背後に目をやるが、その後は澄ました顔でコナンの方を向く。
「もどきも何も。俺はマジシャンなだけですから♪」
「ただの負け惜しみじゃねーか」
軽やかに答えた快斗の言葉に、コナンは快斗を呆れ見る。快斗には、その態度が癇に障ったらしく、不満げにコナンを睨んで咳払いした。
「……見てない振りして見てる方が性質悪ィっての。
第一、そこまで自信あるならやってみろよ」
「無理だろ」
快斗の不服の訴えに、コナンはおかしげに笑いながら即答する。
「そもそもガキに適したゲームじゃねーんだよ。台にしてもキューにしてもデカ過ぎんだろうが」
「……逃げ道作んのに最適だよな、その設定」
「厭味かよ?」
バカにしたような物言いに言い返すが、本人はわざとらしくおどけた。
「いやいや。後からが怖い人物に好き好んで楯突くほど愚か者――」
ふざけていた態度をいきなり停止させる。
コナンは、その行動に快斗を不審げに見上げながら幾度か声をかける。
しかしコナンの問いかけには無反応で、快斗は難しい顔をしながら片耳に手をやった。
(……イヤホン?)
快斗の動きを目で追うと、いつからあったのか、快斗の右耳にイヤホンが差し込んである。
(音楽聴いてるにしちゃ、片耳だけってのは妙だよな……?)
何度呼びかけても無反応な快斗にいい加減諦めて、コナンは周りを見渡し始めた。その直後、前方から大きな音が鳴り響く。驚いてコナンが快斗に視線を戻すと、先ほどまで快斗の手にあったICレコーダが床に落ち、ビリヤード台が揺れたのか、その反動でいくつかの球が動いていた。
「――悪い。俺帰るわ」
「は……?」
言うだけ言うと、そのまま出入り口へ向かいだす。
「いや、ちょっと待てキッド!」
「だから悪いって。急ぎなんだよ!」
「だから待てっつってんだよ!前触れもなく、急におかしいだろうが。今の間に何があった?」
落ち着き払ったコナンの態度に、少し冷静になったようで、快斗は答える前に一度ゆっくりと息を吐き出した。
「――警部が殺されるかもしれねえ。娘も一緒にな」
**********************************
そんな話。
こんなところで終わっておきながらなんですが、次章完成までには
多分しばらく時間がかかります。サイト更新物の小説が、本公開物でないので、
どうせなら普通の小説書いて、更新物の1つにしたいと思ってるため、
少し、普通の小説(リク小説とかお題小説とか)を書く予定。
案内された建物はシャッターが下りていた。にもかかわらず、いとも簡単に中へ入り込む快斗にコナンは顔をしかめる。その言葉に快斗は一瞬目を開くが、すぐにコナンから目を逸らした。
「人をハメるために、閉鎖されたデパートに入り込んだ小賢しい探偵に言われたくありませーん♪」
すっとぼけて言い返すと、そのままコナンを手招きする。先の文句も気にせず、平然と不法侵入を続行する快斗の行動に、コナンは言葉を返す気すら失くす。
「……テメーのその神経の図太さだけは褒めてやるよ」
中へ案内すると快斗はそのまま奥の部屋に引っ込んだ。一人残されて、コナンは仕方なく辺りを見渡す。緑色の台が所狭しと並んだ室内には、よく見ると全ての台にボールが9つ置かれていた。
(ここって……)
テーブルの1つに近づきかけたところで、ドアの開閉音が聞こえてくる。
その音に、進みかけた足を止めてコナンは後ろを振り返る。
「おい、キッド。何で……――つーか何持ってんだよ?」
「何ってコーヒー?あ、一応ブラックな。何か入れるならお構いなくどうぞ」
両手にカップを持って出てきた快斗へ怪訝そうに訊くが、快斗は素知らぬ顔で答えてコナンへカップを渡す。
「ここのオーナーと子供のころから知り合いでさ。俺の家みたいなわけよ」
「……それで何でビリヤード場なんだよ?しかもドリンクのセルフサービス?」
「ああ、違う違う。コーヒーは俺のサービス。まあもともとタダだけど。
つーかそんなサービス自体ねーからな、いつも勝手に淹れてるだけ」
胡散臭そうなコナンの問いに快斗は笑いながら手を振った。
「ホラ、地元民が知らない場所って、要は地元民がいなきゃ良いわけだろ?
今回の件で今日は臨時休業してっからさ。客も来るに来れねえ貸し切り状態ってこと」
「……今回の件でって、そのオーナーとどんな関係があるんだよ?」
「知り合いに病室の監視頼んでるっつったじゃん?それがここのオーナー」
コーヒーを口に含みながら説明すると、慣れた足取りで室内を歩き始める。目的でもあるのかとコナンはそれを目で追うが、予想外に快斗は壁に掛けてあるキューを徐に手に取った。
「それで?地元民避けてるのにはどんな理由がおありですか?探偵君?」
「……少しは緊張感持てねーのかよ?」
快斗の行動にコナンは呆れて返すが、本人は素知らぬ顔で手近な台にスタンバイする。
「オメーが何したいのか知らねーし?つーか、警部の家まで来るの早かったよな?何処にいてたわけ?」
「事故現場」
コナンが答えるのと同じくして、快斗はキューで手玉をついた。その後でようやくコナンへ顔を向ける。
「それで?」
「分かったことと警告の両方あるな」
「んじゃ、スマートに分かった方から♪」
そう言うと、またビリヤードへ関心を戻す。手玉を突くが、何にも当たらない。しかし、それをもろともせずに、ゲームを続行する。コナンは無関心そうにそれを眺めてから話を続けた。
「現場検証しに来た刑事がいるだろ?あれ、何人だった?」
「2人?」
「警察手帳を見せたのは?」
「年齢上の方の刑事だけですが?」
それが何かと続けるも、快斗の視線はビリヤードから離れない。
「おいキッド。真面目によく聞けよ?」
「はいはい?」
返事とは裏腹に、態度は気楽なものである。反応だけして関心は別の方向に向いているが、それに対してコナンは何も言おうとしない。ただひたすらに、まっすぐ快斗を見た。
「現場検証に来たその刑事が一枚噛んでるぞ」
淡々と言ったコナンの言葉に、快斗の手がようやく止まる。キューを動かしかけた手を止めて、無言のままゆっくりと顔をコナンへ向けた。
「少なくとも同行してた刑事は偽者か、そうでなきゃ共犯者だな。
どちらにせよ、地元のしかも警官が絡んでるのは確かだ。
だから真面目に聞けっつったんだよ」
続けられた言葉を受けて、快斗は台の上にキューを乗せて、体ごとコナンの方を振り返る。
「二人共が刑事でない可能性は?」
「ほぼねーな」
快斗の質問にコナンは即座に一蹴した。
「よく考えてみろ。オメー自身が携帯で連絡したんだろ?
なら考えられる可能性として一番高いのはすぐに出てくんじゃねーか」
「……知るかよ。俺は怪盗でマジシャンなの。探偵じゃねーっての!」
苦笑いして言い返す快斗に、コナンは構わずに続ける。
「良いか?通報を受けたのはもちろん駐在にいた警官だろ?普通はその警官が現場に来る。
もし電話を受けたのが偽の警官だったとして、本当の警官が電話に出ない理由は――」
「メジャーどころは監禁か拘束ってところか?
まあ確かに留守中の交番に通報があるなんてまずねーわな。
でもそれがニュースになってないところをみると可能性は低いはずだろ?」
「ああ。オメーに連絡がいってないことを考えても可能性は低いだろうな。
仮に手違いで到着が遅れてオメーがいなくなってから本物の警官が駆けつけた、
と考えたとしても筋が通らない」
「俺に一切連絡きてねーもんな。
非通知にしてねーんだし、やろうと思えば後で事実確認できる状態ではあるわけで」
「そう――」
快斗の言葉に、コナンは短く同意するとニヤリと笑った。
「となると、通報を受けたのは本物の警官であり、それが犯人と考えるのが妥当だろ?」
「確かに。そう考えりゃ、片方の刑事しか警察手帳を見せなかった辺りも怪しいな。
でも、何でハナから現場検証に来た警官を疑ったわけ?」
「ブレーキ痕さ」
「ブレーキ痕?」
コナンの言葉に快斗はオウム返しすると、しかめ面で首を傾げる。
「ひき逃げや当て逃げにはつきものの『ブレーキ痕がない』ってやつ?
でもそれで分かるのは事故かどうかだろ?」
「だからこそだよ。ただでさえ現場は見通しの良い住宅街。
気をつけて走ってりゃ、まずあんな事故は起こらない。それが今回起こった上に
辺りにブレーキ痕が一切見当たらないんだぜ?普通の警官なら、事件の線で捜査するだろ」
「……要は新聞記事の片隅にすら載ってなかった理由は、
その一枚噛んでる警官が上に報告しなかったとも考えられるってことか」
「可能性としてはな。だから中森警部に釘差しとけよ。真っ正直に欠勤理由話すなって」
コナンの言葉に快斗は難しそうに眉を寄せる。
「でも警部、今は警視庁配属だぜ?地元の駐在には伝わらねーだろ?」
「『娘が事故に遭い、入院先の病院で、風邪ひきながら付き添ってたら体調が悪化して
入院する形になってます』とでも言うのか?噂になったら情報が広がるのは早いだろ?」
言われた言葉の意味が分からず、快斗はしかめ面で首を傾げる。腕を組んでしばらく唸ってからようやく頷いた。
「入院先が漏れたら、裏工作は無駄って言いたいわけね」
「なんせ警察だからな。特に本物の警察手帳を提示されたなら信頼性はかなり高い。
偽証してたとしても、まずバレねーよ」
「でもそうなったら難しいだろ。いくら病院に口止めしてたとしても
『ご本人から要請を受けまして』なんて言われりゃ、病院はおろか、病室にもある程度まで侵入できる――」
不自然に言葉を切った快斗をコナンは怪訝そうに見上げる。しかし、快斗の動作はピタリと止まり、よく見れば顔も青い。
「おい、どうした?」
「……ヤベ」
無意識に呟くと、快斗は無言でズボンのポケットからICレコーダを取り出した。
「悪い、名探偵。ちょっとこっち来てくれる?」
「はぁ?」
用があるなら自分が動けばいいだろう、と毒づきながら顔をしかめるも、快斗がいる場所へしぶしぶ歩み寄る。
「なんだよ?」
「警部の家の留守電に入ってたメッセージ」
そう言うとレコーダをコナンへ向けて再生ボタンを押した。
≪エコダソウゴウビョウイン≫
「……これだけか?」
「そう」
流れてきた声は、いわゆる機械声。その声が示したのは、青子と中森が入院している病院名。普通なら病院名を言うのに、声を変える必要はない。
「一言だけってのは恐怖心を煽るためってところか。日時は?」
「一昨日の夜。丁度俺が病院抜け出して、仕事に行く頃だな」
快斗の言葉にコナンは難しそうに顔をしかめて腕を組んだ。
「……となるとちょっと厄介だな」
「何が?」
「その時点で病院名が発覚してたのは、オメーの後をつけたか、
もしくは救急車をつけたかのどっちかだろ?」
「……そうか。もし後者なら後をつけた仲間がもう一人いるわけで、
だとしたら実行犯が少なくとも3人いることになるってことか」
「多いからどうってわけでもないが、それこそこっちは人がそういないからな。
下手に突っ込んでいくと逆に危険になる。――特に問題は病院だな。
明日から平日だろ?余計に手薄だぜ?」
ため息交じりに言うコナンに、快斗はうつむき加減に首を傾げて、難しそうにコナンを見る。
「犯人分かってんなら今日中に確保は無理なわけ?」
「出来るなら現行犯逮捕だけだな。今あるのは状況証拠だけだ、決め手がねーよ」
ため息交じりに言うコナンに、快斗はわざとらしく肩をすくめると、
事もなげに嘆かわしく呟いた。
「それでもお前、警察の救世主とか言われた探偵かよ?名探偵の名が泣くぜ?」
「知るかよ。文句言うなら一人でやりな。
つーか、それはそっちが勝手につけた呼び名じゃねーか。
大体、ガキの頃から入り浸ってる割に、大して上手くもないハスラーに言われたかねーな」
淡々と言葉を返すと、快斗の背後にある台を一瞥する。5回程度は突いたはずの手玉が、ホール直前でかろうじて止まっている。だが、肝心のボールの方は1つも入っていない。
コナンの言葉に、一瞬自分の背後に目をやるが、その後は澄ました顔でコナンの方を向く。
「もどきも何も。俺はマジシャンなだけですから♪」
「ただの負け惜しみじゃねーか」
軽やかに答えた快斗の言葉に、コナンは快斗を呆れ見る。快斗には、その態度が癇に障ったらしく、不満げにコナンを睨んで咳払いした。
「……見てない振りして見てる方が性質悪ィっての。
第一、そこまで自信あるならやってみろよ」
「無理だろ」
快斗の不服の訴えに、コナンはおかしげに笑いながら即答する。
「そもそもガキに適したゲームじゃねーんだよ。台にしてもキューにしてもデカ過ぎんだろうが」
「……逃げ道作んのに最適だよな、その設定」
「厭味かよ?」
バカにしたような物言いに言い返すが、本人はわざとらしくおどけた。
「いやいや。後からが怖い人物に好き好んで楯突くほど愚か者――」
ふざけていた態度をいきなり停止させる。
コナンは、その行動に快斗を不審げに見上げながら幾度か声をかける。
しかしコナンの問いかけには無反応で、快斗は難しい顔をしながら片耳に手をやった。
(……イヤホン?)
快斗の動きを目で追うと、いつからあったのか、快斗の右耳にイヤホンが差し込んである。
(音楽聴いてるにしちゃ、片耳だけってのは妙だよな……?)
何度呼びかけても無反応な快斗にいい加減諦めて、コナンは周りを見渡し始めた。その直後、前方から大きな音が鳴り響く。驚いてコナンが快斗に視線を戻すと、先ほどまで快斗の手にあったICレコーダが床に落ち、ビリヤード台が揺れたのか、その反動でいくつかの球が動いていた。
「――悪い。俺帰るわ」
「は……?」
言うだけ言うと、そのまま出入り口へ向かいだす。
「いや、ちょっと待てキッド!」
「だから悪いって。急ぎなんだよ!」
「だから待てっつってんだよ!前触れもなく、急におかしいだろうが。今の間に何があった?」
落ち着き払ったコナンの態度に、少し冷静になったようで、快斗は答える前に一度ゆっくりと息を吐き出した。
「――警部が殺されるかもしれねえ。娘も一緒にな」
**********************************
そんな話。
こんなところで終わっておきながらなんですが、次章完成までには
多分しばらく時間がかかります。サイト更新物の小説が、本公開物でないので、
どうせなら普通の小説書いて、更新物の1つにしたいと思ってるため、
少し、普通の小説(リク小説とかお題小説とか)を書く予定。
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