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うーん…。色々幅広い意味でコナンもヤバイ気がしてきた…。
いくらお盆とは言え…。尻切れトンボだけは頼むよ、スタッフ……。

さて。存在自体が相当久々なため、ご存知でない方も
いらっしゃると思います。以前使ってたブログでは、
どうしようもないくらい日記ネタが思いつかない場合、
他所からお題取って来て、日記内小説を代わりに載せてました。
まあそれも小説ネタが思いついた場合に限るのですが。

で。特別日記に取り上げるほどの話題がないので、今回は久々に小説を。
全部で5個ある内の3つ目の親子お題。
内容的にはどの親子でもOKなのですが、2連続黒羽一家話につき、
今回は工藤一家で。テーマは多分、『素直じゃないムスコ』かね?
ついでに過去2作は、カテゴリの『お題小説(まじ快編)』に掲載中。

お題配布元:ラフライフ
『親子お題:ただいまー!!



 学校から真っ直ぐ帰ったにしては少々遅めの夕暮れ時。
テテテと、通い慣れた道を足早に駆け抜ける。
隣人の家を横切り、自宅の門扉を押し開けて玄関へと向かった。
ドアに手をかけて勢いよくそれを開くと、元気な声で室内に叫ぶ。

「ただいまー!!」

 そう言ってから、新一は不思議そうに首を傾げた。
普段なら、暑苦しいほどに出迎える母親の声すら返ってこない。
おや?と思いつつも、玄関先に突っ立っているわけも行かず、
靴を脱いで、とりあえず中へ入った。

「ねぇ、父さんー?母さんー?いないの?」

 リビング、キッチン、風呂場、書斎、客間。
家中のあらゆる所を声を上げながら捜し回るが、姿が見えない。
2階から1階へ降りてから、怪訝そうに玄関を見る。

(留守なら無用心だよなぁ……。鍵閉めとけよ)

 心でそんな文句を言ってから、それもそうだと一人で納得し、玄関の鍵を閉めに行く。
その後で、玄関から廊下を眺めて不満げに口を膨らませた。

(何だよ……。博士から聞いたから、せっかく驚かしてやろうと思ったのに)


 ――その出来事は、今から10日ほど前のこと……
優作の仕事の都合で、優作と有希子は1日家を空けることになった。
その際、隣人である博士の家に新一は預けられたのだが、
夕飯が終わり、カレンダーを眺めていた博士が思い出したように呟いた。

「そう言えば、もうすぐ君の両親の結婚記念日じゃな」

「……結婚記念日?」

 初めて聞く言葉に、新一は飲みかけたお茶をテーブルへ戻した。

「博士。その『結婚記念日』って何?」

「ん?――そうじゃなぁ……。具体的に説明するのは難しいが、
 まあ簡単に言うと、夫婦にとって一番大事な日とでも言おうかの。
 君も将来誰かと結婚すれば分かることだと思うぞ?」

「ふーん……。それってそんなに大事なの?」

「そりゃそうじゃろう。何と言っても想い出の日じゃからな!」

「想い出……?」

 〔結婚記念日〕も、それについての博士の説明も、あまりしっくりこない。
答えになったようなならなかったような結論に、新一は難しそうに首を傾げる。

「ねぇ、博士。それって祝うもの?」

「大規模なパーティーをして祝う、というわけではないが、
 お互いに感謝の気持ちを込めて、プレゼントを渡し合ったりするもんだよ」

(……プレゼントか)

 新一は少し考えると、残りのお茶を飲み干した。


 ――玄関の鍵を閉めてから、新一はリビングのソファへ体を沈めた。
両親不在では、一人ぼんやりしているより仕方ない。
特に意味もなく、室内を見渡して、キッチンのテーブルで目を留める。

 テーブルの上に乗っているのは、かなり小さなブーケ。
博士から記念日だと聞かされて、お互いにプレゼントを渡し合ったりする、
と言われたため、今日の学校帰りに花屋へと立ち寄って、買ってきたのである。
家へ帰って来て、二人が玄関先に出てきた途端に渡してやろうと目論んだが、
不在だった両親のお陰で、その計画が崩れ去ったというわけだ。

(……何だよ、今日に限って)

 そんな風に毒づいていると、玄関の方から音が聞こえだした。
あわててテーブルの上のブーケを自分の背に隠すと、リビングから顔を出した。

「――あ、新ちゃん!ゴメンね、帰ってたのね」

 出てきた新一に気付いて、有希子は靴を脱ぎながら声をかけた。
しかし返事はなく、新一は驚いたように有希子を眺める。

「……母さん?何、その恰好……?」

「え?ああ、これ?休憩してから、ちょっと出かけようと思ってね」

「出かけるって……。それにしちゃ張り切りすぎ……」

 ニコニコ楽しそうに笑う有希子に、新一は思わず苦笑いをした。
有希子が着ているのは余所行きの洒落た服装。
ただ、普段より気合いが入っているらしく、それはパーティードレスに近い。

「あ、新一も着替えてね」

「へ?」

「外食に行くのよ。――ちょっと奮発して高級ホテルの最上階展望レストラン♪」

「え……?」

 どういうわけか、有希子はいつも以上にテンションが高い。
事の成り行きがいまいち理解出来ないながら、新一は次第に落ち着きを取り戻した。

「――あ!そうだ!なぁ、家留守にするんなら、ちゃんと鍵くらい閉めて行けよ!
 『空き巣被害に気をつけましょう』っていう回覧板が、来てたじゃねーか」

「いやー、スマンスマン。お前が直ぐに帰って来るだろうと思ってな」

「だからって……無用心すぎんだろ!」

「まあ、良いじゃない。今日くらい♪」

 有希子はニッコリ笑って両手を握り締める。
その呑気さにため息をついてから、新一はブーケを二人の前に突き出した。

「……あら。なーに?これ?」

「いや……だから……前、博士に聞いたんだよ……。
 今日が父さんと母さんの結婚記念日って……だから、その……」

 途中から恥ずかしくなって、顔を逸らしながら説明する。
しどろもどろではあるものの、新一の意図することは分かる。

「新ちゃん……」

「べ、別に好きで買った……――のわぁっ!」

 素っ頓狂な悲鳴と共に、有希子が新一へ抱きついた。

「離せって、母さん!別に好き好んで買ったわけじゃねーよ!」

 必死な叫びも空しく、余計に束縛される。
本人に言っても無駄だと、自分の父親の方を救いを求めるように見た。

「父さんー……。黙って見てるんなら、助けてよ」

「まあ仕方がないと思って諦めるんだな」

「ええっ!?」

 露骨に顔をしかめる新一を、面白そうに笑うと、
優作はポンッと新一の頭に手を置いた。

「しかし何だな。毎日見ていると気付かんが、お前も随分大人になったもんだな」

「だって……博士が何かプレゼントする日だって言うから……」

 言われた言葉に対しての不満と照れの両方で、新一はプイと顔を背ける。
その様子に、優作は有希子の腕からひょいと新一を持ち上げて、自分の肩の上へ乗せた。

「よし。ならとっと着替えてホテルにでも行くか?」


*****************************************************************

 そんな家族話。不意に『結婚記念日』というテーマが思い浮かび、
【学校帰りに花屋へ寄って、持ち帰るも両親不在+結婚記念日】
という設定で書き出したらこんな感じに。

 サイト内小説は事件色強いですが、ほのぼの日常話は
読むのも書くのも凄く好きなので、親子ネタは書いてて楽しいv
そして、何気に久々な英字タイトル小説。さて、次はいつかな。

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