alarm of Crow

「今朝は鳥の声で起きました」

という言葉は、
もの凄く爽やかなニュアンスで伝わりますよね。
ただ、今回ほど朝方の鳥の声がウザく感じたことは、
生まれて初めてです。……鳥の声自体は好きなんだけどさ。

――カラス3羽のケンカのせいで、起こされました

向かいの家の、
しかも自室の目の前に位置する屋根の上で、
それはそれは30分以上「カーカーカーカー」うるさかった。
最初気にせず寝ようと思ったものの、さすがに無理でした。

おまけに、鳴き声に混じって『ガンッ！ガンッ！ガンッ！』
という何かを思いっきり叩くような音が聞こえてて、
最初、雨が金属に当たってる音かと思いつつ、
その割にはカラスの鳴き声がうるさいな、と外確認。

すると、向かいの家の屋根にある
小さなソーラーパネルらしきものを突っついてるカラスが1羽。
その両サイドに、カラスがそれぞれ1羽ずつ。
両サイドのカラスが、真ん中のカラスへしきりに鳴いてるもよう。

一体何を言ってるんだよ、こっちは迷惑なんだよ。早く飛んでって！
と、心で叫んでると、真ん中のカラス、ソーラーパネルらしきものから、
何かを引っこ抜いて、それを加えて上を向いた。
抜いたと思われるのは、くちばしにおさまる程度の小さな丸い物体。

…………え？まさかネジ…じゃないよな？
――え！ネジ！？　確かに光物に弱いって言うけど…。
確かに、ネジ光ってないこともないけど…。ネジ！？

と、予想外の事態にこっちが混乱してると、
さっきよりも激しく鳴き出した右側のカラス。
しかし、真ん中のカラスはそれを無視するのみ。
その際、勝手に脳内変換された会話。

「おい！それくれって言ってるだろ！」
（ヘンッ！知らないね！
　オレが取ったんだから、オレの物だよ！）
「――よこせよ！」
「待てよ！こっちだって欲しいんだからな！」
（誰にもやらねーよ！取りたきゃ自分で取れよ！）

みたいなやり取りが、多分5分位あった気がする。
その後、真ん中のカラスが
向かいの家の軒下辺りに飛んで行ったと見えて、
それを追いかけていった両サイドのカラス。

鳴き声が聞こえるのが、若干遠くなっただけで、
それからまだしばらく鳴き声が止まなかったという。
……実にはた迷惑な朝でした。